国指定史跡
 
根室半島チャシ跡群

■ノツカマフ1号チャシ跡。壕の内側に盛土が観察できる

 チャシ跡は、アイヌ文化期(13〜19世紀)の砦跡とされていますが、チャシ跡の築造は18世紀ころまでとされています。砦のほかにも見張場、聖地、祭祀場などの使われ方をしたようで、その規模や形状は様々です。
 北海道内には500ヶ所以上のチャシ跡が確認されています。特に、道東地方はチャシ跡の分布密度が高く、根室市内にはチャシ跡が32ヶ所現存しています。そのほとんどが、オホーツク海を望む海岸段丘上に作られています。
 根室半島のチャシ跡群は保存状態が良好なこと、分布密度が高いこと、寛政元(1789)年の和人のアイヌ民族に対する非道が発端の「クナシリ・メナシの戦い」と関連性が高いことから、根室半島に分布する24ヶ所が「根室半島チャシ跡群」として昭和58年に国指定史跡となっています。
(現地説明板より)

 訪問(2020年10月)したのは、ノツカマフチャシ跡とヲンネモトチャシ跡の2ヶ所です。


 国指定史跡のチャシ跡は、根室市内に24ヶ所ありますが、実際に現地に行けるのは限られています。
現在、見学先として整備されているのは、「ノツカマフ1・2号チャシ跡」と「ヲンネモトチャシ跡」の2ヶ所です。
(分布図は、現地案内板分布図に一部追記)


■さまざまなチャシ跡のかたち
 チャシ跡にはさまざまな形がありますが、大きく下の図に分類されます。根室市内のチャシ跡は、海を臨んでつくられた「面崖式」のチャシ跡が多く、半円形や方形の壕を組み合わせた大規模なものが多いことで知られています。(文と図は現地説明板より)

          


■クナシリ・メナシの戦いとチャシ

(写真は現地説明板より)


■ノツカマフ1・2号チャシ跡
<根室市牧の内> 
 ノツカマフ1号チャシ跡は半円形の壕が2つ連結して構成されています。壕の幅は約5m、深さは2〜3mと深く、壕の一部には「土橋」と思われる高まりがみられます。

 ノツカマフ2号チャシ跡は半円形の壕が1ヶ所巡り、幅2〜3mで深さ50p程度と壕が浅く作られています。

 チャシ跡からは北方領土の国後島や歯舞群島を見渡すことができます。
(現地説明板より)


(左)チャシ跡周辺地形図は現地説明板より。

(下)
チャシ跡模型は、「根室市歴史と自然の資料館」展示物。












チャシ跡模型(左)が1号チャシ跡、(右)が2号チャシ跡


■ノツカマップの歴史
 この地はノツカマップというアイヌ語地名で「岬の上にあるところ」という意味です。1754年には松前藩の役人やこの地を経営する和人が住むようになりました。1778年にはロシア商人シャバーリンやオチェレデンがノツカマップを訪れ、交易を申し出ました。
 1789年にはこの地域を治めていた和人が、アイヌ民族に対し過酷な労働や暴力的な支配を行ったことが原因で、クナシリやメナシ(羅臼・標津)地方のアイヌ民族が和人71人を殺害する「クナシリ・メナシの戦い」がおきます。
 その後、松前藩は鎮圧隊を派遣し、戦いに関わったアイヌ民族37人をこの地に集め、処刑しました。それまで、ノツカマップはこの地方の中心地でしたが、この事件をきっかけに現在の根室港周辺に中心が移りました。

 
 (文と写真は現地説明板より)


 ●ノツカマフ2号チャシ跡●

ノツカマフ1・2号チャシ跡入口
 入口から現地まで徒歩約8分(距離約200メートル)です。駐車スペースは車2台分程度しかありません。先に、2号チャシ跡から訪ねます。

※なお、訪問は、2ヶ所のチャシ跡、納沙布岬を見学するタクシーによる根室半島周遊2時間コースを利用しました。根室駅からこの場所まで車で約20分(距離約11q)です。さらに、ここよりヲンネモトチャシ跡まで車で約20分(距離約10q)です。



ノツカマフ2号チャシ跡(後方の平坦部)
 
チャシは「柵囲い」を意味するアイヌ語であり、砦、祭祀を行う聖地としての場、見張り場、談判の場など様々な用途が想定されています。



ノツカマフ2号チャシ跡
 当チャシ跡は、一条の半弧状の壕が掘られ、ノツカマップ湾を臨んでいます。壕は非常に浅く、完成されていないチャシかもしれません。(説明板より)



壕跡
 上の写真の左側の壕跡です。



壕跡
 上の写真の右側の壕跡です。


●ノツカマフ1号チャシ跡● 

 当チャシ跡は壕が半弧形に横に二つあわさったように掘られています。壕は2メートル以上で深く、壕の内側は盛土され、チャシ跡中心部は平坦になっています。


深い壕に囲まれた1号チャシ跡。この左側の様子が右写真


この奥に行った所が、左下写真です



半円形の壕が2つ重なっている部分。壕の左右は、共に1号シャチ跡




◆この跡は、ヲンネモトチャシ跡に向かいます。

チャシ跡から見た断崖下の柱状節理構造

 
 




 ■ヲンネモトチャシ跡
<根室市温根元>

ヲンネモトチャシ跡遠景
温根元湾の湾口にある。盛土をして頂上を平坦にしている。壕を掘るなど平面的な構造が多い根室市内のチャシ
跡中でも、変わった造りをしている。松浦武四郎「納沙布日誌」にも登場しており、目を引くチャシ跡だったようである。
(説明板より)



ヲンネモトチャシ跡周辺地形図(現地説明板より)


ヲンネモトチャシ跡模型(根室市歴史と自然の資料館展示)

 ヲンネモトチャシ跡は、温根元湾の西岸に突き出した岬の上に盛土を行い、壕で区画し、盛土頂上に平坦面を2ヶ所作り出しています。温根元漁港から側面を見ると「お供え餅」のように見え、形の良好なチャシ跡として知られています。

 近くには、長さ12mのオホーツク文化期の大きな竪穴もあり、古くからこの湾が利用されてきました。チャシ跡からは、歯舞群島や国後島が指呼の位置に臨め、交易品として貴重なラッコの毛皮入手などのために、海を超えていた根室地方のアイヌの生業領域の広さを実感できます。
(文は現地説明板より)



ヲンネモトチャシ跡周辺地形図の現在地の場所です



階段を上がった先にチャシ跡が見えてきます



ヲンネモトチャシ跡
盛土をして、その上を平坦にして作っている点が特徴。



散策路から近づいて見たチャシ跡



盛土頂上部の平坦面

頂上部から一段下に築かれた平坦面。壕で区画されている



チャシ跡見学後、納沙布岬・花咲灯台車石に行きました】

同じく下側の平坦面と上段を区切る壕。前方は温根元漁港



納沙布岬







■釧路市のチャシ跡も見学しましたのでご紹介します。
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車石(国天然記念物)

 放射状節理構造の玄武岩で、車輪を想わせる形をした奇岩。


 
(現地説明板より)

       
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